枝枯れてようやく威張る烏瓜

葉の落ちた向こうに烏瓜がぶらさがっていると、はっとする。
真っ赤な実が視線をくぎ付けにして、しばらく見つめたりする。まっかっかの実だけれど、マムシグサのような不気味な感じは、不思議としない。呑気そうにぶ~らりとただ下がっているだけだからだろうか。親しみさえ感じる。
花は意外! 花びらの先っぽが絹のレースのような按排になった、真っ白い花だ。この実からは想像だにできない細やかで奥ゆかしい花なのだ。ただどうしたことか、この花は葉っぱの裏側に隠れるようにして咲くらしく、なかなか目立たない。
そうして時が静かに過ぎ、周りが枯れ始めるころ突如として赤い実がぬっと顔を出す。不意を突かれて、はむっ! と息をのんで、突然くるなよなあ! びっくらするでねえか! としばらく眺めることとなる。
見ていると、この実は意外に大きく、食えねえもんだろうか? と思う。野っぱらの草木の実は、食えようが食えまいが、なにがなんでも食ってみたい気がする。しかし、烏瓜とはうめえもんだ、という話はあまり聞かない。
烏瓜のように、周りがくたびれたころ突如として存在感を示す人もいる。それまで黙していて目立たずだったのが、皆がくたびれてふと後ろを向いたら、そこにぬぼ~っと彼が立っていた。そうだ、彼が適任じゃあるまいか、と衆議一決する、というような按排。
やらせてみると、これがどうしてどうして、なにごともぬかりなく、かつ淡々としてやっちまうのである。実力はあるのに、それをおくびにも出さず、ただぼう~ッとしていた彼の意外な一面を見せつけられ、一同どっと安心するのだった。
烏瓜のような人には、なかなかなれんナ。
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