野辺を来て一息入れて式部の実

ムラサキシキブの実は実に典雅な色だなあ、と思う。
つやつやと陽に照らされた小さな実は、その紫の色具合がなんとも言えず美しく目に映ずる。画像はコムラサキと言う種類らしいけれど、いと美しい実ながらどこにでも平気で生えているようである。出し惜しみを決してしない。
これを見ると、かの有名な紫式部という人もこんな優雅な女性だったんで、そこからこの名をつけたのだろうかと思うが、しばし待て、話はどうも逆ようだ。昔はこの実を「紫重実(むらさきしきみ)」と言っていたらしい。
すなわち「シキミ」だったんだが、紫式部と言う人が有名になってしまい、え~い、めんどくせえ、ミだろうがブだろうが構ったこっちゃない、と言うんで「シキブ」になったのでは、と邪推する。思えば、「むらさきしきみ」のほうが可愛らしいのでは。
野っぱらを歩いていると、当り前のことながら実に多くの花や実を目にする。花の方はイヤでも目に付く。実の方は目を射る華やかさに欠けるので、あまり注意が向かないけれど、しかしながら、このムラサキシキブの実だけは違う。
この実が葉っぱの上にしゃしゃり出て、秋の柔らかい日を照り返し、ゆ~らりと風に吹かれる様は、瞬時に目に付く。そうして人をして「ほほう! 」などと言わしめ、立ち止まらしむる。誰もがかくの如きであろうと想像する。
しかし野辺には実に様々な花がある。その中で好ましく思うのは、春一番は赤紫のホトケノザ、夏は薫り高きヤマユリ、秋はどこからともなく匂うキンモクセイ、冬は、え~と、そうだ、寒風に凛としたサザンカ。野の花、万歳なんである。
ムラサキシキブの実を仰山取って部屋にぶち撒いたらたらどうだろうか?!
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