底を這う寒気そのまま寒の明け

いつものことながら立春前後はことのほか凍れる。
寒が明けたのなんのと言っても、寒さの方はそんなことに構っちゃいない。じつに気まぐれで、人間の都合や感情をまったく無視して平然としている。気候をつかさどる方にしてみれば、寒明けだの立春だの、全部人間が勝手に決めたことである。
「オレに相談もなく決めやがって、そんなこと知るか! オレはオレ流で勝手にいくゾ」と言っているらしい。その「オレ流」がどんな流儀であるのか、トンと掴めないから、ヒトと気候は昔から仲が悪いようにできている。
いっぽう、人の立場では、1か月半も雪や寒さに閉じ込められ、やっとのことで立春を迎えたのだから、これが嬉しくない筈がない。「そ~れ、寒が明けた、明日から立春だ、ぬくぬくの到来だあ! 」と長いトンネルの先のかすかな光を見たような思いなんである。
ところがこのころになって、意外や意外! 冷えひえが続き、「なんだ、なんだ! 約束が違うじゃないか!! 」と言うことになって、期待が簡単に裏切られ、困惑、困窮、困ったこととなるから、鬼のように怒るんである。
ところでまた別に、お天道さまはお天道さまで別な理由があって、寒さなんぞに構っちゃいないで、ドンスカと陽ざしを強くしていく。寒さの方は、小憎らしい太陽メ、と思っても
相手はとんでもなくデカイから結局負けてしまう。
そんな塩梅に、ヒト、寒さ、お天道さま、それぞれに都合があって、そして組んずほぐれつ、戦いを繰り広げるわけだ。しかしヒトは、立春だ、寒明けだ、と聞けば、なにやら先の方に、大いなる期待がもてて、結局嬉しい。
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