山すその空広がって菖蒲園

雨の予報が晴になった。
東村山の北山公園の花菖蒲が、少しばかり気になっていたので行ってみようと思う。ついては多摩湖(村山貯水池)の風にも吹かれて来よう。で、西武線、萩山駅から西北に進路を取り、多摩湖の堰堤を渡って向こう側の丘陵の尾根を下り、菖蒲園に行く計画とした。
それで萩山駅で下車、駅前に「多摩湖自転車歩行者道路」がまっすぐ多摩湖に通じている。この道路の下には、多摩湖の水を境浄水場に運ぶ水道管が埋めてある。車は通っちゃいけない、人と自転車だけ。両側に並ぶ木々の青葉が涼しい緑陰を作っている。
坂を上って多摩湖に出ると、水の中の給水塔が水面に映えていつもながら美しい。人々はベンチでまったりしたり、堰堤の上を歩いたり、立ち止まったりしてのんびりしていた。平日だったためか、中高年の人が多い。
湖面に美しいさざ波が立ち、水面を渡ってくる風が爽やかに頬を撫でてゆく。水が青い、山が青い、空が青い。青い空にぽっかりと白い雲が浮かんでいる。下流方面、つまり反対側は緑地になっていて、草が緑、木々の葉っぱも緑、緑一色。
その緑の先に家々の屋根が小さく見える。さらに視線を上げれば、所沢市の家並みが小さく霞み、やけにのっぽのビルが一つ見える。西武の本社だという話だ。堰堤を渡った先に西武遊園地、西武園などがあるが、どれも休業状態。広い土地がガランとしている。

そこの丘陵の尾根を下って八国山緑地の脇の菖蒲園に入る。家並みを抜けるとだんだん空が広がって来て、菖蒲田が向こうの方まで開けてきた。まだ時期がちょっと早いらしい。それでもぽつりぽつりと咲いていた。花菖蒲の花はどれも清々しい色をしている。
出口近くのベンチでゆるゆると休憩。目の前の泥田に人の影がうごめいて、どうやら草取りをしていたらしい。やがてみんな上って来て、日焼けした顔が笑顔になっていた。決して緩くない労働だと思うが、今までそのことに気づかなかった。
最後に正福寺に立ち寄る。「千体地蔵堂」の前に立つ。優美な姿がちっとも変わっていない。なんとも言えない曲線で反り返った四隅の屋根、それを受けて軒庇のどっしりとした安定感。これは一度見たらこころのどこかに焼き付いて、消すことが出来ない。
禅宗様式の建物だが、室町時代ごろ建立されたらしい。当時の姿をほぼそのまま残していることから、1952年に東京都で初の国宝に指定されているという。建物の脇に棚が設えてあり、15cmmぐらいの小さな小さなお地蔵さんが無数に奉納されていた。
思いがけず晴れた楽しい散歩。
短い動画(BGM、キャプション)
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