遥かから鉄路の響き夜半の冬

空気さえも凍るような夜半に、遠い線路の響きが聞こえるときがある。
むかし、まだ暗い夜明けに聞いた蒸気機関車の、ぴょう~という叫びを思い出す。いずれも聞こえる季節は、決まって冬であったような気がするが、何かそういう気象条件があるのだろうか? それを聞くとなんとなくしんみりする。
寂しい地方の、寂しい海岸に響く鉄路の音はもっと淋しいに違いない。この音が脳みそのどこをどう刺激して、淋しいという感情を波打たせるのか、その辺りの小難しいことは知らないけれど、夜更けの機関車の叫びを聞いて、陽気に騒ぐ人は少ないだろう。
それにしても、と思う。鉄道がどしどし廃止される。100年もかかって、山を削り川っぷちを埋めて営々と線路を敷いてきたのに、それをぶん投げて知らん顔をするというのは、いかに何でもモッタイナイ。どんだけの金と労力がつぎ込まれたことか!
特に碓氷峠のトンネル群はモッタイナイの極致である。まだ十分使えそうな立派なトンネルをいくつも放り投げたままだ。余りにもあんまりな仕打ちに、トンネルは山の中で人知れず涙を流しているという。カワイソウデアル。
なぜそんな按配になってしまったか? 年寄りの目で見れば、人間が急ぎ過ぎるのだ。リニア鉄道の技術は凄いかもしれないが、大阪へ1時間で行って何をしようと言うのだろう。取り立ててそんなに緊急な用件はあるまい、もしあったとしても新幹線で十分間に合う。
貨物などもバカみたいに急いで、鉄道からトラックに切り替える必要は豪も認めない(年寄りは保守的)。荷物など、息せき切って翌日に届ける必要はどこにあるだろう。三日もかかってゆるゆると届けてもらえばオンの字ではないか。
鉄道賛歌が鉄道哀歌になって久しい。
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