彼岸寒
今年は暖冬、の由どこかで聞いたが、彼岸過ぎてもまだ寒し!
如何なる按配なりや? 責任者は直ちに出頭すべし! と言ってはみたものの、多少寒かろうが暖ったかかろうが、特段大きな支障があるわけもなし、どうも気合が入らない。
特段の支障無きと言えども、寒ければ表に出る気せず閉じこもって丸くなる。ひたすら閉じこもり居たれば、足萎え胃衰え、頭クズになりてむしゃくしゃ止まるところなし。なすべきこと無きは手足無き犬の如し、にっちもさっちもどうももならない。歳経たりと言えどなすべきこと持つは重要だなあ。
止むを得ざれば、専ら妄想を事とす。時は春、温かき空から和らき風そよいで花の枝を揺らす。あれは何の花か知らぬが、花の名など知らざると言えど、一向に差し支え無き。ただ陶然として温き風を身に受けてそぞろ歩くのみ。
こころに浮かぶは雪柳の白、連翹の黄、若草の緑、そして空の青。それらに囲まれてゆらゆらとどこへともなくさ迷う。この風はあのときのあの風と同じならむ、想えば遠くに去りし日々の懐かしき。戻らぬゆえになお。
ふと我に返り眼を上げれば土佐水木なりや一枝、青空に映えまさに開かんとす。土佐水木、日向みずきどちらがどうか、分からぬと言えどどちらでもいい、ただ眼に映じそして心持よければなんの不服あろうぞ。
雨よ止め、雲よ去れ
晴れたればいざ行かん
足の赴くままに