たまたま日記

たまにしか書かないに日記         遊びをせんとやうまれけむ   戯れせんとや・・・・

晩夏なのかな

 鬼のような熱暑が、朝晩は少し和らいできたような日々。




 家と敷地境界との隙間に少し土がある。そこのところに縁台のようなものを造ってもらって、わが居場所である。暑い盛りはそんなところに出ちゃいられないが、涼しく感じる朝晩はそこに出てぼんやりと時を過ごす。コーヒーを入れたカップを持参し、蚊取り線香に火をつけ、ふかりふかりと煙を吐きつつ眺めている。




 植込みの脇になんだか分からない小さな芽が出たので、水をくれてやっていたら、黄色の花が咲いてキバナコスモスらしかった。一株だけなのにその花も十数個も咲いて散り、だんだん花の季節がお終いになるらいしい。アブだか蜂だか、熱心に仕事中。


 これは植えた覚えもないし種を撒いたことも全くない。いつの間にかちょこんと芽を出し勝手に育っておのずと花を咲かせた。風の仕業か鳥の落とし物なのかわからないけれど、ともかく育って種をつけるのだろう。種がこぼれれば、また来年咲くかもしれない。


 しかし、どうせならもう少し金目のものを運んだり落としたりしないかなあ。花屋で買えばそれ相当な値段の花とか、極めて旨い実をつける高級果物とか、そんなものにしてほしい、というようなよこしまな者は、でっかいフンを落とされるかもしれない。




 道路との目隠しに常緑樹のキンカンを植えてある。こいつは奇妙なことに、何べんも花を咲かせる。白い小さな花がぽつぽつと咲くと、どこに居たのか、ミツバチがわんわん集まってくる。そうして花が散ると蜂たちはウソのように姿を消す。


 花は散ったナ、と思うとまた咲き始める。そしてまた蜂たちがわんわんする。蜂たちが受粉をするのだろう、先日咲いた花のところに、小さな小さな緑の実を着けている。それぐらいで終わりかと見ていると、いまの花が散って数日後、また白い花をつけている。


 これまで何年も眺めていたはずなのに。こんなに何回も断続的に花を咲かせるものだとは
露ほども知らなかった。見ていて見ず、実にいいかげんな目ん玉の持ち主だとつくづく自覚した。この調子だと、いまのこの世の中をどれほど歪んだ目で眺めているのか、分かったもんじゃない。




 座っている縁台の下から、ときどき奇妙なものが顔をのぞかせる。トカゲ、尻尾から背にかけて青い金属色をしている。カナヘビは艶やかさがないというからトカゲだと思う。それも12歳ぐらいのジュニアらしく、5cmぐらいの大きさの奴が、ちょこまか動き回っている。 ほんの時たま、彼の(彼女かも)母らしき大人が出てくる時がある。どうやら一家が縁台の下の薄暗がりのあたりに暮らしているようだ。しかし家賃は一向に払ってはくれない。ただで住まわせているのだが、見ていて面白いのでそのままにしている。


 ジュニアの動作は思いのほか素早い。ちょろちょろと走ってときどき思いついたように立ち止まり(立ち止まりでいいんだろうか)、ちょっと何か考えているようなそぶりをする。たぶんなにも考えてはいないと思うが、彼だって少しはカッコつけたいのだろう。


 しかしながら、この一家は縁台の下に潜んでいて、一体何を食って生きているのだろう、と思っていたら、先日ジュニアが土の上をちょろちょろしつつ、頭を土塊の中に突っ込んだと思ったら、小さなミミズを引っ張り出してきて、壮絶なバトルを始めた。面白いので見ていると、彼の身長の半分ほどミミズを1cmほどの細切れにぶった切って、どうやら食ったらしい。ははあ~、彼らはこういうのを食って生きていたんだなあ。



 
 ぼんやりと縁台から眺めているだけだが、なかなか面白い。
 生きているものは、やっぱりそれなりの努力をしている、
 という当たり前のことを思い知らされる。


 何の努力もせず、食っちゃ寝だけでいいんだろうか?

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