窓の内から
ここへきて真正に梅雨が明けたらしい天気となった。
この、むんわりとした暑さがなんともはや、狭い家の中をあっちに行ったりこっちに来たり、どこへ行っても居場所がない。てめえの家の中で居場所がないとは、全く情けないことだ。最終的には、好まないけれど、クーラーの世話になる。
窓の外を見ると、空あくまで青く、雲は白く、どこかへ行きたい気分になるが、こんな時に不用意に表に出たら、一瞬のうちにこんがりと焼きあがるような気がして、とてもその勇気はなく、だから居場所ない家に閉じこもっているしかない。
せっかく梅雨が明けたのだから、自由に外の世界を飛び回ってみたいと思うのだが、うっかり焼き殺されるのではないか、と躊躇する。そう考えると、全国に何万人いるか知らないけれど、車中泊放浪おじさんたちはどのように凌いでいるのだろう。
走行中はエアコンが使えるとしても、夜ともなればエンジンはストップするのだろうから、広からぬ室内は、どぎゃんもこぎゃんもあったものではないような気がする。窓を開け放して、蚊帳などを吊り、優雅な風に吹かれているのだろうか。
そこまでして放浪するというのは、その過程にどんな素晴らしいことが待ち受けているのだろうか。車中泊放浪者は、ご夫婦もあるらしいが、大概はリタイヤしたおじさん一人のようである。そのおじさんは、日本全国の素晴らしい景観を求めてさすらうのだろうか。
それとも、平々凡々たる家庭生活から脱出して、不便な生活を強いられ、なおかつ孤独に身を沈める放浪そのものに、曰く言い難い魅力を感じ取っているのだろうか。その辺りはどうも、やってみなきゃあ分からない! というところだろうか。
放浪という言葉に、何だか知らないけれど惹きつけられるのだはあるけれど。