たまたま日記

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地下足袋シューズを買う



 最近、地下足袋型のウオーキングシーズを「ぽち」った。
 なぜかと言えば、近頃の若い娘っ子が地下足袋に興味を持ってこの手のものを買っている、とネットの風の噂があったから。なのだが、なにも、若い娘っ子の真似をしたいわけじゃなくて、個人的にふか~~いわけがあるからだ。
 前々からこういうものが欲しかった。実は外反母趾である、というより、正直に言えば、呑み過ぎの痛風発作で、左足親指が内側にひん曲がってしまった。このため長い距離歩くと支障があって、そのため親指とその他指が分離する靴が欲しかった。


 足の支障というのは、ひん曲がった親指が痛むのではなく、まずくるぶしが痛くなる。我慢してい歩いていると、それから膝がカックラキンカックラキンと出来損ないのロボットのような動きになって、痛み出す。
 これらすべてが、親指の内側へのひん曲がりのせいだろうと推察し、左足だけ靴紐をゆるゆるにし、くるぶしのところも締めずに緩めたままにして歩く。がそれでも時としてやはり同じような症状が出てしまうので、更に5本指のソックスの上から、親指と第2趾(人差し指とは言わないよなあ)の間に柔らかいパッキンが挟まる、そういうサポーターみたいなのを噛ませて歩いた。


 そうすると、まあまあ大丈夫だった。とりもなおさず、あと残りの日数もそう長いことではないだろうし、こんなぶっくれ足でも何とか歩けるだけ見っけもんなのだろうし、そう思って歩いていたところへ、上記のネットの噂を知り、早速ぽちったという次第。
 ぽちったらすぐ届いたので、すぐさまこの靴を履いて、ここ3,4日散歩してみた。なかなかいいようである。どこにも痛みは感じないし、足の親指がいつも意識に登るようになった。そしてなんといっても軽い。ただ防水じゃないので、雨の時は工夫が必要だ。




 実のところ、地下足袋そのものに注目したのは、遠い遠い昔、たぶん高校生の頃だったと思う。友達と二人、尾瀬沼へ行くことになった。そのとき、親と兄貴が「地下足袋で行け」と命じ、みっともないから嫌だと思たのだが、だと言って他に靴がない。
 しょうことなしに地下足袋をはき、汗じみたおかま帽をかぶり、汚らしい格好で行ったら、友達の奴はチロリアンハットにサングラス、リュウとしたいで立ちであってだいぶ差をつけられた。その晩の生煮えカレーは、食えなくてもとにかく喰え! でこれは御愛嬌。
 
 翌日、そぼ降る雨の中を尾瀬ヶ原へ降りたのだが、ここで地下足袋はその本領をいかんなく発揮した。第一に滑らない、濡れた石ころでも滑らない。第二に軽い、軽いから足運びが楽だ。ただ雨が沁みとおるが、これは意外と簡単に乾いてしまう。
 帰宅後つらつら考えてみて、そのころはやったハイキングシューズなどより、よっぽど地下足袋は優れものではないか、滑らない、軽い、親指と他の指が別々に動く、これが大地をがっしりとホールドするらしい。




 そのときから、地下足袋はいい、と思ったのだが、都会に出てからは如何せん、田舎から出てきた百姓に対するような目つきで見られるのを恐れ、靴を買ってしまった。


 以来幾星霜、思いがけもなく、再び地下足袋の時代がきたらしいのは慶賀の至り。しかも時代は地下足袋と靴との、いいとこどり、であるらしい。いい時代になったなあ!

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