たまたま日記

たまにしか書かないに日記         遊びをせんとやうまれけむ   戯れせんとや・・・・

ふらり散歩



こう梅雨空が長引くと、すべてのもが腐る。


腐って溶けて仕舞わないうちに、はっきりしない天気だけど散歩に行こうと思う。どこしゃぃ行けばよかか? と言われてもなあ。どこがよかかなあ、青梅にでも行ってみっか。


大昔の多摩川が山間を流れて深い谷を刻み、勢い余って平野に流れ出してから、わっと驚いて四方八方に彷徨い流れて扇状地をつくった。青梅にはその谷と扇状地と両方の地形がある。その扇状地のほうに江戸時代初めに吉野織部之介という人が新しい村を作った、というのでその江戸時代の面影でも探してみようかと思う。



電車を降りて歩いて、江戸時代に織部君が開発したという「新町村」辺りに到着。さてその面影は、ビルの下にへんてこりんな形の石碑がある。甲申塔と書いてあり、裏側に文化〇年とか刻まれているが薄れていて読めない。もう一つは馬頭観音と書いてある。ま、江戸時代には相違ないが織部君が活躍したのは慶長年間、家康が江戸に入って間もないころだという。




現在の青梅街道は旧青梅街道でもある。歩いていると「東禅寺」がある。織部君が元和2年に開基した、と石碑に刻んであった。ようやく織部君ゆかりの場所に出会った、とはいうものの建物は新しい。当然ながら400年昔の建物であるはずねえよな。




また歩いていると大井戸公園に「まいまいず井戸」のようなものがある。新町の大井戸というのだそうだ。作られたのがおそらく江戸時代以前だと説明してあった。穴の直径は30×20m、底の筒井戸は15mの深さに彫り込んであるらしい。じゃ、地表面からなら25~30メートルか? 武蔵野台地はホンマに水に苦労する。


脇の噴水で遊んでいる幼い女の子が、バカみたいに可愛い。水の吹き出し口に小さい手を当ててはじけ飛ぶ水にきゃあきゃあと騒いでいる。水だけであんなに楽しいんだもんなあ、いいよなあ。



もっと歩いていくと織部くん家(ち)があった。彼は「新町村」を苦労して開発した後、そこの名主になった。代々名主として続いたらしい。裏側に道路を隔てて現在も吉野さんが暮らしている。織部君の末裔かしら。


小さなおばさんが裏庭で草取りをしていたが、入っていったのを見つけるやいなや飛んできた。この家はそもそもと云々、が始まりそうな気配にたじろぎつつ、そうはさせじと質問を浴びせる。聞きたいことだけを聞きたいのだけれど、さてさて。


ところがぎっちょん、敵もさるもの引っかきはしないが、やれ靴を脱いで畳に上がってあの表を映せ、この東京都の文化財指定書を撮れ、とまあ、ほとほと困窮した。それでも口調は、すみませんねえ、うるさくて、ごめんなさいね、口出しして、などというからプイっと横を向くわけにもいかない。


こうなれば覚悟を決める。マガチに座り込んでじっくりゆるゆるとおばさんのことを聞きにかかる。東京渋谷生まれだが、ご主人が転勤族で信州松本に長く住んでいた。信州の生活はそれなりに楽しかった。空気はいい、野菜がうまい、人は親切だ。


主人がなくなり子供たちも独立してそれぞれに住み、渋谷近辺に帰ろうと思ったが、昔と違ってもうごちゃごちゃになってしまった。息子が信州にどこか似ているからと言って、青梅に住むことになった。あと1年でここの仕事も終わる。どうしようかね。



ようやくおばさんの舌鋒を逃れ、次は「道しるべ」2連発、一つ目は大きな道路の追分道。自然石に「馬頭観音」、右に「文政〇年 なんたら」、左に「かわこえみち かんたら」読めない。二つ目は細い道(でも、旧青梅街道)の追分道。「南無阿弥陀仏」、右に「右 江戸道」、左に「左 はんのふ、かわこえみち」

  



さて、勝沼城跡へ行く。中世以来この地を治めた三田某氏の居城。三田氏は北条氏照に攻められ遥か西の山城、辛垣城で戦うが落城、自害して、その後この城に師岡氏が入ったから「師岡城」ともいう、と説明板に書いてある。

  

眼下に青梅の市街地が広がる。栄枯盛衰、人は変われど時は待たず、滔々と流れて流れ去る。ほんの一瞬の夢、全くそうだよなあ。この城跡も間もなく山に溶け込んで消えてしまうかな。



さてさて、こんなものばかり見てどうだというんだ! と言われりゃあ、どうということもない。おかげで雨がぱらついてきた。濡れるほどではないが、面白くはない。青梅駅の近くに来た。ここは両側に丘陵迫った渓谷の河岸段丘、土地が狭い。



13㎞ほど歩いたので一杯引っ掛けなければならない。飲食店を探すが閉まっているところが多い。土地が狭いから衰微していくのだろうか。人に聞いてやっと一軒探し当てた。散歩の後は吉例、疲れ癒し。


ラーメン屋みたいな、食堂みたいな、居酒屋のようでもある小さな店。おかみ一人と、すでに出来上がっている近所の爺さん。ゆるりとした時間が流れえる。



ゆるゆると疲れが溶けだしていくようでもあるが、薄い雑誌一冊目に入る。見るともなくパラパラすると、人形作家の写真掲載の本。昭和をテーマにした懐かしの群像。自慢じゃないが昭和に生まれ昭和で生きてきた。懐かしい。



酒を飲んだので掲載してある本の名前を記憶してこなかった。


著作権なんたらで怒られるかな?


ま、勘弁してつかあさい。

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